吉田 志穂展 @資生堂ギャラリー
実は写真にひとつひとつ向き合うの、
わりと戸惑うことも多いんです。
写真って、その写真家さんのまなざしというか、
気配のダイレクトさに、
どう向き合って入り込みたいか、自分の中がわかんなくなったりする。
あと変にこっちが固定されて、緊張して、何にも入んなくなったりする。
それで、「へー、そういう風に混乱するんだ、わたし」って、
思ったりもするんだけど。
この展覧会は楽しめた。
普通に見てると山の風景
映像が折れ曲がって投影されて、
または、そこに稜線のトレースを見つけるととたんに、
一気に見てた写真の空間世界が変わる。
変な妙な感覚。
別の時間と空間が一緒に来ちゃった、みたいな、
認識の変換。
「砂の下の鯨」というシリーズ、
(コンセプトより)
『何度も撮影したことのある、生まれ育った土地にある海岸の航空写真を見ていると、よく知っているはずの場所に見慣れない何かで囲われた土地を見つけた。
(中略)
勝手知ったる場所の知らなかった事件に興味を惹かれ、その場所に行ってみることにした。
鯨の埋められている場所にはとても綺麗な砂紋ができていた。
(中略)
生まれ育ち、知り尽くした見飽きたと言っていいほどの場所が、知らない間に起きたひとつの事実により全く知らない場所に変化していく。
砂の下の鯨はどんな姿でそこに在るのか、それを写真にしてみたいと思う。』
あるものがない、みたいな、
ないものがある、みたいな。
全部映像だし、幻想だし、認識の中だけにしかないし、
でもどうしてもそこにあるように思えるらしい、
それをプロジェクター投影してる感じがおもしろくて。
帰ってから作家さんのインタビュー読んで、
こういうこと考えてるんだー、とか。
世代の認識とかも含めて。
https://bijutsutecho.com/interview/4221/
こういうつらなりの感じ、おもしろい。